今回、自ら会社を起こそうとしているわけですが、今まで私は会社員として組織に身を置く立場でした。そこに甘えていたというわけではないですが、例え仕事上で失敗したとしても、翌月すぐに給料が下がるわけではなく(査定には響きますが)、かえって残業代をもらって給料が増えたりすることすらあるわけです。そこに経営者のような大きなリスクがあったかと言うと決してそうではなく、今になって振り返ると、会社に守られた安定した立場だったのだと実感します。
翻って、これからは会社を起こす立場になります。毎月の経費が掛かる中で、売上を立て、かつ利益を上げていかなくてはならないというプレッシャーがあります。今の時点ではまだ余力はありますが、もし共に働くエージェントが誰も集まらなければ、当然売上はゼロになり、撤退や廃業というリスクも背負うことになります。 逆に、売上が立てば儲けも大きく「ハイリスク・ハイリターン」なのかというと、そうとも言い切れません。REMAXの仕組みにおいては、オフィスを構える私自身は「ミドルリスク・ミドルリターン」の形になります。一方で、参画してくださるエージェントの皆さんにとっては、ご自身で初期投資や固定費などの大きなリスクを抱える必要がないため「ローリスク」です。そしてリターンに関しては、ご本人のやる気と行動次第で「ローからハイまで」ご自身の目標に合わせて自由に目指せるシステムになっています。
このように、リスクを抑えながら共に成長していくエージェントの皆さんを迎えるにあたり、私自身のマインドも大きく変えなければならない壁に直面しています。
私はこれまで技術者として、主に金型を設計してきました。成型金型というのは、基本として100万ショットもの量産に耐えうるものでなければなりません。そのため、金型設計は量産までには常にパーフェクトに仕上げる必要があり、ある意味「完璧」でなければ許されない世界でした。だからこそ、若かりし頃の私は常に気を張って仕事をし、完璧主義者に近い感覚を持っていました。
ところが、いざ経営側に立つと、「完璧」になるまで一人で抱え込むのではなく、もうひとつ大事な視点が必要だと気づかされました。それは「人を信用して任せる」ということです。 100点満点になるまで待つのではなく、ある程度自分の中で方向性を定めたら、あとは信頼して人に委ねる。そして、まずは行動を起こしてもらい、そのプロセスの中で都度確認を行い、振り返りと軌道修正を重ねながら、共に100%の完成形を目指していく。経営においては、そのような感覚でないと通用しないのだと思うようになってきました。
今回のブログに「殻をやぶる」という題目を付けましたが、技術者時代の完璧主義から抜け出し、人を信じて任せ、行動を見守りながら軌道修正していく感覚を身につけることが、今の私には最も大事なのだと思っています。自分一人で抱え込まず、どこかで見切りをつけて他者に委ねる決断力も必要なのだと、今は強く感じています。まさに、会社員としてのマインドから脱却しなければ、経営者は務まらないのだと痛感する日々です。