未来予想

先日、テレビを見ていると、ある建設業の足場職人の方が出演されていました。その方は元々、秋田県で中学校を卒業してそのまま地元で職人として働いていたそうです。しかし、結婚して子供ができ、「家族を養うために手取りを増やしたい」という思いから東京へ出てきたとのことでした。 昨今の人手不足もあり、東京で3年程度働いた結果、職場のリーダークラスに昇格し、現在では1000万円程度の収入を得ているという内容でした。人手が足りない状況が影響し、給与が急激に上がっているという現実があるようです。足場工事という仕事柄、体力のある若手が必要とされていることも、その一因としてあるのでしょう。

不動産業界の「人」はどうなるのか?

では、私たちのいる不動産業界は今後どのようになっていくのでしょうか。 まずは宅建士の数から見てみます。これまで宅建士は毎年約2.8万人前後で増え続けており、令和6年度末には約121.1万人に達しています。合格率が15%~18%と比較的難易度が高いと言われてはいますが、その数は着実に増加を続けているのです。 それに対して、宅地建物取引業の従業者数(宅建業者で実際に働く人)は、令和6年度末で約62.8万人。賃貸業や管理業などを含む不動産業全体の従業員数となると、約130万〜140万人規模となっています。

これまでを振り返ると、不動産に関わる人たちは、2000年頃から2010年まではITバブル崩壊やリーマンショックの影響で減少傾向にありました。しかし、2011年頃から現在(2026年)までは右肩上がりで増加を続けています。

迫り来る、不動産業界の深刻な「人手不足」

ところが、今後の見通しは少し様子が異なります。国土交通省などのデータによると、現在の不動産業就業者の年齢構成は「60歳以上」が非常に高い割合を占めています。今後10年で彼らがリタイア期を迎える一方で、少子化の影響により若い世代の新規流入が追いつかず、業界全体で深刻な「人手不足」に陥ることが確実視されています。 あくまで予測にはなりますが、宅地建物取引業の従業者数は、2024年に約62.8万人だったものが、2030年に約56万人、2035年には約50万人、2040年には約45万人になるとされています。これは年間で約1万人、つまり約2%の人が減少し、業界として15年で3割の人がいなくなる計算です。不動産の場合は、先ほどの足場職人の方とは年齢構成が異なるため、このような減少がこれから緩やかに始まっていくというのが現実なのではないかと思います。 また、これまで増え続けてきた法人数(そのうち10人以下の小規模業者が95%を占めます)についても、今後は後継者不足による廃業やM&Aが進み、プレイヤーの数自体が集約され、業者数も減っていくことが予想されます。

賃貸市場のターゲットは「高齢単身者」と「外国人」へ

では、我々不動産営業のビジネスに欠かせない「総世帯数」はどうなるのでしょうか。 2020年は約5,570万世帯(うち単身世帯約2,115万)でした。これが2030年には約5,773万世帯(単身世帯約2,385万)、2040年には約5,523万世帯(単身世帯約2,437万)となり、2030年をピークにほぼ横ばいで推移すると予測されています。この背景には、独身の人の増加という理由があります。 そして、2040年に向けて「単身世帯」と「高齢者世帯」の割合が劇的に増えるため、賃貸市場は『高齢単身者がいかに借りるか』の市場へと完全に移行していくでしょう。ここに、外国人の流入という避けられない要素が加わるため、単身者のアパートやマンションがさらに必要になってくると予想できます。都心部や工場周辺などの単身向け賃貸マンションも、今後底堅い需要が見込まれます。

社会問題化する「空き家」の未来

それでは最後に、これからさらに社会問題化するであろう「空き家」はどうなるのでしょうか。 2023年に約900万戸(空き家率13.8%)だった空き家は、2033年には約1,400万戸(約20%超)、2043年には推計約1,700万戸超(約25%)へと増加していく予想となっています。

これらを踏まえて、AIに「今後どのようになるのか」を聞いてみました。その中身がこれです。

単に家が余るだけでなく、空き家の「種類」が劇的に変わります。これが今後の不動産ビジネスの明暗を分けます。

激増する空き家:「その他の空き家(放置空き家)」
今後爆発的に増えるのがこれです。親が施設に入った、あるいは相続したが「売る気も貸す気もなく、解体費用も出せないため放置している」物件です。老朽化が進み「危険な空き家」となる割合が高く、これが2040年に向けて倍増すると予測されています。

増え止まる空き家:「賃貸用・売却用の空き家」
これらは「市場に流通させようとしている」ため、ある程度管理されており、不動産業者から見れば通常のビジネス対象です。単身者でかつ高齢者用のアパートが必要になってくると思われます。

それでは「我々不動産業者にとってどうなるか」もAIに聞いてみました。

不動産業界における就業者の減少が続く中、現場で活動する実務家1人当たりの案件数が増加する構造が鮮明になっている。

現在、業界内の高齢化や人手不足を背景に、不動産取引に関わるプレイヤー(業者および従業者)の数は、毎年約2%のペースで減少し続けていると推計される。一方で、市場に存在する物件数や、不動産取引の絶対数がそれに比例して急減しているわけではない。

この「プレイヤー数の減少」と「案件数の維持」という2つの事象が交差することで、残された実務家1人当たりに持ち込まれる案件のシェアが純粋に拡大するという、極めてシンプルな計算が成立しているのが不動産市場の予想となる。

さらに、今後の市場における「需要の純増」要因として、外国人の参入が挙げられる。国内の労働力不足を背景とした外国人労働者の増加は、賃貸や実需向けの新たな住居需要を直接的に生み出している。同時に、日本の収益物件などをターゲットとした海外投資マネーの流入も続いており、これらの動きは既存の国内案件に上乗せされる形となる。

将来の不動産市場については多角的な予測が存在するが、現状の市場構造を客観的に見れば、「プレイヤーの減少」と「需要の純増」によって、実務家1人が立つことのできる打席数は物理的に増え続けているのが事実である。

あくまで現段階での将来の予想ではありますが、業界全体のプレイヤー自体が減っていく中で、都心部においては一人当たりの案件数が純増していくのではないかと私は考えています。

逆に地方についても同様、あるいはそれ以上の変化が起こります。高齢化に伴ってプレイヤー自体の減少幅は都心と比較して大きく、空き家が激増してくる状況になります。しかし、賃貸向けのマンションやアパート等の需要は変わらないと思われますし、空き家でもきれいな物件や交通の便のいいところなどの取引は一定数の需要があるので、エージェント一人当たりの取扱件数はかなり増えるのではないかと思っております。

これらのことから言えるのは、2030年以降、地方で「エージェント」としての働き方をしっかりと確立した人にとっては、大きなチャンスが訪れるということです。AIにはとってかわることのできない、売買や仲介といった「人が繋ぐ不動産仲介業」には、実はブルーオーシャンが待っているのではないかと睨んでいます。

齋藤 秀哉

Office Owner / 泉区将監出身。活動エリアも将監です。50代半ばからの挑戦。街の身近な相談役として、体が動く限り皆様に寄り添い続けます。

TOP
TOP