先日、子どもの進路のことで学校へ行く機会がありました。
その学校はミッション系なのですが、そこで聖書に出てくる「タラントン」という話を聞きました。
これがなかなか興味深い話だったので、今回は少しご紹介したいと思います。
皆さんは、テレビなどで活躍している人を「タレント」と呼ぶ、その言葉の由来をご存じでしょうか。
実は、新約聖書にも登場する「タラントン」というお金の単位が、語源につながっているそうです。
その聖書には、こんな物語があります。
ある主人が長い旅に出ることになり、3人のしもべに、それぞれお金を預けました。
一人目には5タラントン、二人目には2タラントン、三人目には1タラントンです。
5タラントンを預かった人は、それを使って商売をし、10タラントンに増やしました。
2タラントンの人も同じように商売をして、4タラントンに増やしました。
ところが、1タラントンを預かった人は、失敗してお金を失うのが怖くなり、土の中に埋めて隠しておいたのです。
やがて主人が戻ってきます。
主人はお金を増やした二人を大いに褒めましたが、何もしなかった三人目には厳しい言葉をかけ、預けたお金も取り上げてしまいました。
なかなか厳しい結末ですよね。
ただ、私が興味深いと思ったのは、5タラントンの人も2タラントンの人も、同じように褒められていることでした。
最初に与えられた金額も、増やした金額も違います。
それでも、主人は二人を同じように評価したんですね。
考えてみれば、人間も最初から持っている能力や得意なことは違います。
それをどう活かしていくか。
この物語は、そんなことを伝えているのかもしれません。
もっとも、1タラントンを土に埋めた人の気持ちも、分からなくはありません。
失敗して失うくらいなら、何もしない方が安全だと思うこともありますからね。
私自身、これまでの人生で、何度もそんな場面があった気がします。
稲盛和夫さんの言葉を思い出しました。
この話を聞いて、京セラの創業者、稲盛和夫さんの有名な言葉を思い出しました。
「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」
という方程式です。
私は、この考え方が昔から好きなんです。
能力がどれほど高くても、考え方や熱意によって結果は大きく変わる。
逆に、最初から特別な才能を持っていなくても、考え方や取り組み方によって、思ってもいなかった結果につながることがある。
この方程式の面白いところは、足し算ではなく掛け算になっていることです。
特に稲盛さんは、最初の「考え方」を非常に大切にされています。
いくら能力が高く、熱意があっても、その力を間違った方向に使ってしまえば、よい結果にはつながらない。
確かに、そういうことは仕事でも人生でもありますよね。
ただ、私がもう一つ興味を持ったのは、「能力」の部分です。
生まれ持った才能や得意不得意は、人によって違います。
でも、それだけで結果が決まるわけではない。
そう考えると、少し気が楽になりませんか。
私自身、これまで特別な才能に恵まれてきたとは思っていません。
それでも、興味を持ったことに取り組み、人に教わりながら少しずつ経験を積んできました。
その結果、今では不動産会社まで立ち上げることになったのですから、人生は分からないものですね。
どんな人たちと一緒にいるかも、大きいのでしょうね。
そして最近、もう一つ感じていることがあります。
それは、自分がどんな環境に身を置くかということです。
これまで仕事をしてきた中でも、考え方が柔軟な人や、経験豊富な人と話していると、自分では思いつかなかったような発見がありました。
「ああ、そういう考え方もあるのか」
そう思うだけで、今まで行き詰まっていたことが、急に違って見えることもあります。
今回、REMAX Linkageを立ち上げたのも、そんな人たちとのつながりを大切にしたいという思いがありました。
REMAXには、さまざまな経歴や経験を持つエージェントがいます。
自分とは違う得意分野を持った人たちと話し、時には助け合いながら仕事をしていく。
そんな環境の中で、自分自身の考え方も少しずつ変わっていくのではないかと思っています。
タラントンの話に戻りますが、最初に預けられたものが5でも2でも1でも、それぞれにできることはあるのでしょうね。
私自身も、56歳になって新しい仕事を始めたばかりです。
これからどんな経験を積み、どんな人たちと出会うのか。
まだ分からないことばかりですが、楽しみでもあります。
ところで、稲盛さんの方程式には、もう一つ「熱意(努力)」という言葉があります。
この努力というものも、考えてみるとなかなか奥が深いんですよね。
私自身、昔の仕事を振り返って思い当たることがありますので、その話は次回に書いてみたいと思います。